EPUBとデジタル著作権管理(DRM)
暗号化されているEPUBファイル
暗号化されているEPUBファイルは、(当然ですが)鍵を持っているリーディングシステムでしか開くことができません。下図は、iBooks(右)とDL Reader(左)のエラー画面。EPUBはオープンなフォーマットですが、鍵がかかっているものは閲覧環境が制限されます。
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OPFファイルやMETA-INFフォルダ内のXMLファイル(container.xml、encryption.xml、rights.xml)は、書誌情報などが記載されていますので、暗号化されていません。
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上記以外のファイル(XHTML、CSS、その他)は暗号化されており、ウェブブラウザで表示することもできません。
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暗号化されたEPUBファイルの複製は可能ですが、(中のXHTMLファイルを取り出しても)読むことはできません。この仕組みがあるから、電子書籍化の許諾を著者から得られるというケースも少なくありません。一方、2月19日のPodcast「資料として10年、20年保管しておきたい本は電子書籍で買うべきか?」でお話したように、将来読めなくなる可能性は否定できません。
商業出版では、DRMを「悪」と決めつけることはできませんが、(強いDRMが必要な場合は)PCのアプリケーションソフトのように時代とともに廃れ、新技術で再生されていくデジタルデータであることを明確に提示していく必要があるかもしれません。
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弱いDRM(Social DRM)
弱いDRMについても紹介しておきます。弱いDRMは、購入者の利便性を重視し、電子透かしを埋め込んだり、購入者の名前を付加するなど、抑止効果による著作権保護。デザインやウェブ関連の書籍を発行している、バークレー (カリフォルニア州)の出版社「ピーチピット(Peachpit)」は、電子書籍(EPUB、PDFなど)に弱いDRMを適用しています。詳細は「Watermarked eBook FAQ」を参照してください。
Watermarked eBookの例:
PDFの場合は、全てのページに購入者の名前が記述されます(電子書籍を購入する際、名前、メールアドレス等の入力が必要)。
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EPUBの場合は、OPFファイルのtitleに購入者の名前が追加されます。
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iBooksの表示画面です。タイトルが長いのでランドスケープモードにしないと表示されませんが、追加されている購入者の名前が確認できます。
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DL ReaderではEPUBのメタデータを表示すると、確認できます。
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更新日:2012年2月23日